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「十二人の死にたい子供たち」について
2019年の新年に公開された「悩める子羊たち」をテーマにした衝撃の映画『十二人の死にたい子供たち』。
廃病院に集まった自殺志願者たちの物語ですが、実はこの映画は、単なる密室自殺劇ではありませんでした!
今回は、映画「十二人の死にたい子供たち」のあらすじや、意外な考察について紹介していきます。
映画「十二人の死にたい子供たち」は自殺映画じゃない感動を秘めた作品!!
作品の詳細
この映画「十二人の死にたい子供たち」の原作は、若者の心の琴線をとらえる作家、沖方了氏の大ベストセラーです。
本書にはタイトルの通り、12人の自殺願望がある未成年たちが登場します。
そして彼らがなぜそんな状況になったのか・・・
その心理を織り混ぜつつ、ミステリーのような推理戦の小説になっているんです。
そんな映画「十二人の死にたい子供たち」を映像化したのは、監督、堤幸彦氏。
最近は「イニシエーション・ラブ」など、トリックを用いた巧みな映像を完成させている監督です。
そんな2人がタッグを組んだ本作「十二人の死にたい子供たち」。
その上、キャスティングも有名な若手俳優が多く、かなり話題になっています。
とくに、12人のうちの4番目の自殺志願者の謎のアイドルは、公開ギリギリまで絶対報道されない、というルールがありました。
そして公開時に「橋本環奈」さん、というサプライズ発表があり、世間を騒がせる・・・というちょっとした「仕掛け」もされていました。
そんな公開前から、謎めいた仕掛けがあった今回の映画。
いったいどんな仕上がりになっているのでしょうか?
映画「十二人の死にたい子供たち」のあらすじ
まずこの物語で重要な軸となるのは12人の子供たちです。
その子供たちが、なぜ廃病院に集まることになったのかも、気になるところですよね。
病院=<死>に直結している発想ですが、この12人の中に病院の関係者がいたのでした。
では、詳しいあらすじについて紹介します。
12人の死にたい子供たちは集団自殺の話?
12人の自殺志願者が集った「安楽死の集い」のサイト。
このサイトの管理人は、12人のメンバーのうちのサトシでした。
サトシはある日、「安楽死の集い」のサイトのメンバーで、<ある集まり>を計画します。
それは、ある廃病院に集まって、『集団自殺する計画』を実行する・・・というものでした。
死にたい子供たちが12人集まり、どうやってこれから死ぬのかを話し合うのです。
その方法は・・・
「全員で自殺する方法を考え、1人でもその方法を拒否するのなら、却下」
ということでした。
つまり、集団自殺の方法から、皆で決めていく・・・ということですから、なかなか決まらず時間が過ぎていきました。
なかなか決まらない自殺の方法を決めながら、1人1人がポツポツと自分の自殺までに至る環境や心境について話し出しました。
そんな中、12人いる部屋に、13人目の存在があったのです。
それは<遺体>・・・。
13人目の存在は、なんと遺体で放置されていたのでした。
いったい誰が殺したのか・・・という心理ミステリーのこの遺体の発見がきっかけになり、物語は切り替わっていきます。
自殺志願者の子供たちが、13人目の遺体の存在で、すこしずつ意識をかえていくのでした・・・。
登場人物とキャスト
1、サトシ・・・高杉真宙
舞台となる廃病院の院長の息子。「安楽死の集いサイト」の管理人でもある。
2、ケンイチ・・・渕野右登
学校でのイジメを苦に自殺を希望。
3、ミツエ・・・古川琴音
ファンだったミュージシャンの死んだため、自分も自殺を希望。
4、リョウコ・・・橋本環奈
【秋川莉胡】というアイドル。アイドルからのストレスで自殺を希望。
5、シンジロウ・・・新田真剣佑
推理好きの病人。病気を苦に自殺を希望。
6、メイコ・・・黒島結菜
重度のファザコン。自分に保険金をかけて父親にプレゼントするために、自殺を希望。
7、アンリ・・・杉咲花
梅毒に悩む少女。淫行と社会問題に悩み「不妊治療」の合法化を願う。
その実現のために、自殺して注目を浴びようとしている。
8、タカヒロ・・・萩原利久
不眠症患者。眠るために自殺を希望。
9、ノブオ・・・北村匠海
自分をいじめてた相手を殺してしまう。その罪に自分を許せず、自殺を希望。
10、セイゴ・・・坂東龍汰
両親に保険金をかけられて、自殺すれば保険金は下りない、と自殺を希望。
11、マイ・・・吉川愛
援助交際で性病に感染し、自殺を希望。
12、ユキ・・・竹内愛沙
交通事故で片腕に障害が残り、自殺を希望。
13、ゼロバン・・・とまん
映画「十二人の死にたい子供たち」を観ての感想
この映画の醍醐味は、12人の自殺志願者たちが「集団自殺の方法」を模索していく過程や、突然あらわれる死体「ゼロバン」の出現です。
その死体の発見から、いったい誰が犯人なのか・・・と推理ゲームが始まるのも自然な流れになっています。
この犯人を暴くまでは、12人は決して死ねないだろうと思いますし、この心理戦を通して、「生」のありがたさに12人それぞれが、自分なりの答えや希望に目覚めていくところも、うまく表現していました。
彼らが「死にたい・・・」と、この集団自殺の会に集まったとき、それぞれが自分の死にたくなった理由を語ります。
そのいきさつは、いじめや虐待などの社会的な要因がとても大きい。
子供たちにたいして、集団社会や大人たちは責任をもって触れていくこと、という責任を感じさせられた映画でもあります。
最初は、新感覚ゲームのように「密室サスペンス」というテーマを前にだしつつ、結末にはガラリとテーマが心にまで浸透する感動テーマにすり変わってしまいます。
その作者のテクニックと監督の観せ方の技法こそも、この映画の良さのように思いました。
まとめ
今回は2019年の新年に公開された映画「十二人の死にたい子供たち」について紹介しました。
それぞれがその境遇に悩みながら、本当の遺体い対峙した時に何を思うのか・・・という深いテーマを秘めたこの作品。
観た後に、物語の子供たちと同じ気持ちを共有できる映画に仕上がっています。
サスペンスと感動作の融合を、是非お楽しみください。